JASON バージョン 3.0 のリリース

今回のJASON 3.0は発売開始以来で最も大きなリリースの一つになります。その中身には、マルチベンダー対応の商用NMRソフトウェアとしては初めてとなる3Dスペクトルデータのサポートが含まれます。

3Dデータのサポート

3D NMRデータの取り扱いの要請に応えて、JASON 3.0では、例えばHNCAなどに代表される3Dデータ(FID)の処理(JEOLデータ)と、そのスペクトルデータの表示(JEOL及びBrukerデータ)が可能となりました。

3Dスペクトルデータを表示・閲覧するには、ユーザーはJASONにデータを読み込んだ後、自動で挿入されるドロップダウンメニューから見たいスペクトル平面を選択します。そこからスクロールバーを用いることで、平面から別の平面へ移動してスペクトルをスムーズにナビゲート出来るようになっています。

Image depicts a 3D NMR spectrum with overlays of the JASON settings showing the plane selection in the top left and the slider to navigate through the data plane by plane in the bottom right.

既存のほとんどの処理関数はそのまま3Dデータの処理に用いることが出来ます。継続的な開発が考えられており、この3か月後の次のメジャーリリース時にも同機能のアップデートが予定されています。

ルール機能:

もう一つの注目すべき新しい機能は、「ルール機能(JASON Rules)」になります。これはJASONでデータを開いたときに何が起きて欲しいかを、ユーザーが決めることが出来るという機能です。ちょうど、メールツールにある自動仕分け機能などと同じようなものになります。

ユーザーは「ルール」のライブラリを自分で設定することが出来ます。実行させる処理、解析、またはキャンバス上のページのレイアウトについて、データの分類(タイプ、ベンダー、または観測核など)毎にそれらを設定すること出来ます。例えば、1D 1Hスペクトルと2D 異種核スペクトルとで異なるルールを適用することが出来ます。

また、ルールライブラリは複数設定することが出来ます。そしてワークフロー毎にそれらを簡単にスイッチすることが出来ます。例えば、一つのルールライブラリには、単にデータを処理し、積分するだけとし、一方でもう一つのルールライブラリには、データの処理、完全なマルチプレット解析、そして、その解析結果を表で表示させた上で、あなたの所属のロゴをページ上に記す(つまり完璧なレポート作成)を用意しておくなどです。

 

 

溶媒エディタ:

バージョン3.0からユーザーは、新たな溶媒を加えたり、既存の溶媒データ(化学シフトやピーク多重度など)を編集したりすることが出来るようになりました。

設定メニューNMRセクションの溶媒タブには、その編集のための溶媒テーブルがあります。ユーザーが編集した溶媒データは、スペクトルの自動溶媒認識と他の溶媒データが解析に関係する機能に使われます。

Image shows a screenshot from the JEOL JASON NMR Software. ON the left is an image of the Solvent Table Editor

カラフルなGUI:

最後になりますが、JASONは 3.0からよりカラフルなGUIを備えるようになりました。これによりアイコンの視認性が上がり、また少し現代的な見かけになりました。楽しんで頂けたらと思います。

Screenshot of the JEOL JASON Version 3.0 NMR Software which now has blue coloured icons

JASONバージョン3.0をお試しください:

このブログ記事ではJASON 3.0のほんのさわりだけを紹介しました。新機能の全ての内容に興味がある方は、以下のウェブページをお訪ね下さい https://www.jeoljason.com/ja/new-version-3-0/。これまでのリリースと同じように、最良のパフォーマンスのための調整を行い、また幾つかバグを修正しました。

もしあなたが今までにJASONを使用したことが無ければ、是非、46日間無料のJASONトライアル版をお試しください。そして、もしあなたが既にJASONのユーザーである場合においても、ご使用のJASONを3.0にアップデート頂き、これらの新しい機能を是非体験ください!